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在日中国人留学生・就学生の地位・待遇向上が急務

コラムY! 2006/10/02(月) 12:18
中国と共存共栄を図るための視点 第8回−平沢健一(G&Cビジネスコンサルタント代表、サーチナ総合研究所客員研究員)

  【中国ビジネスのリスクマネジメント−人材確保について(2)】

  前回紹介した日本への留学生たちの出身地は、かつて中国の沿海部や大都市が中心で、大卒の専門職や管理職経験後、大学院生を目指すものが多く、年代としては20代後半から30代が中心だった。こうした沿海部や大都市は急速に発展しており、今はむしろ英語圏へ留学する私費留学生が多い。これは富裕層が増加し、グローバル化が進む中、世界的な英語の地位上昇が理由に挙げられる。

  昨今では北京、上海、大連、広州を中心に日本語のできる中国人人材の需要も急速に上昇しており、再び日本語教育ブームも見られる。

  近年の在日中国人留学生の特色は、高卒で20歳前後の東北地域出身者が目立つ。

  彼らは就学期間を経て大学入学を目指す。東北地域や山東省、江蘇省は日本企業との関係が深く、近年コールセンターやソフトビジネスでこの地域を狙って成功し始めた企業も多くなってきた。現地の日本語教育の伝統から、日本企業への就職希望者も多く、良い人材も目立つ。こうした動きは沿海部の異常な賃金上昇から、東北地域へ生産拠点をシフトしていこうとする日本企業の動きや中国政府の一大プロジェクト「東北振興」にも合致する。

  しかしながら、留学生政策の貧困さから在日中国人留学生専門の採用情報はそれほど多くなく、体系だっていない。また採用時の企業と人物査定のミスマッチングから、入社後不満を持ち続け、結局転職するケースも多く、受け入れ側の不備から採用された中国人が戦力化しないケースも目立つ。

  更に中国では「留美的親美、留日的反日」と言われるように、米国に留学する中国人のほとんどが親米になるのに対して、日本留学経験者は反日になるケースが多い。

  中国は今、空前の大学進学ブームで、大学が不足し、高卒の希望者で大学に進学できない若者が300万人を超すといわれている。また大学を卒業しても就職できる人は40%程度といわれ、この新卒採用状況は年々悪化している状況だ。

  中国人にとって、留学は競争激甚の自国で困難な状況から抜け出す「登竜門」であり、自分の成功をかけた大きな挑戦となっているのである。

  一方、日本は少子化と団塊の世代が定年を迎え始めて、外国人の留学生や職業人を求める声が日増しに高まっていくものと思われる。そうした状況による今後の雇用状況の変化を考えたとき、12万人の中国人留学生及び就学生問題をポジティブに考えていくことは喫緊の課題といえる。

  最近中国人留学生と一部企業の間で、京都で6年前に生まれ「中国人を適正に評価し、留学生の事情や心情を理解した上で、採用について適切なアドバイスと、その後の人材育成を図る」中国人経営の「世代継承活学社」が注目を集めており、今後の手本になりそうだ。

  筆者は移民の国・米国に駐在経験を持つが、彼らの留学生対応や外国人の英語力育成にかける国やコミュニティの意欲は素晴らしい。かつてはアジア人など有色人種の蔑視があったが、今は地域住民も行政もこぞって応援してくれる。米国を好きになる中国人留学生が多くなるのもまったくもっともなことである。

  日本は中国人留学生の犯罪が続いたことから、預金残高証明書の提出義務付けをはじめるなど、留学生への対応や規制が厳しいといわれ、就学生のための日本語学校のレベルもばらつきが多い。筆者もよく中国人のアルバイト現場で留学生たちに声をかけ、激励するが、就学生の苦労は尽きない。

  今後は留学生や就学生をしっかり選別する体制を作ることも重要だが、「優秀な留学生や就学生」を誘致できる仕組みづくりが急務だ。宿舎、奨学金、研究環境、魅力的な教授陣など政官民学挙げて、中国人留学生対応を考えて欲しいと思う。(執筆者:平沢健一)


■関連サイト < サーチナ総合研究所客員研究員 >

■関連トピックス < 平沢健一 >

【執筆者】
平沢 健一(ひらさわ けんいち)

G&C(グローバル&チャイナ)ビジネスコンサルタント代表。サーチナ総合研究所客員研究員。1944年生まれ。1966年早稲田大学第一商学部卒。日本ビクターに入社。日本ビクターでは15年の間、国内営業担当セールスマン、営業所長、テレビ営業課長などを歴任、20年の間で世界56カ国を訪問、各現地法人の経営に注力。すべての現地法人で黒字経営を実現、高マーケットシェアーを獲得した。

その間の代表的な経歴としては、米国駐在(ニューヨーク)テレビマーケッティング部長、EASTCOAST営業所長(82年−87年)、イタリア駐在(ミラノ)JVCイタリア初代社長(88年−96年)、英国駐在(ロンドン)JVCヨーロッパ副社長、欧州副本部長(96年−98年)、中国駐在(北京、上海)理事、JVC中国会長、社長、中国本部長(98年−2003年)。


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