■経済成長に伴う中国の食生活・食料消費の現状分析 1|2|3|4|5|6
中国の経済成長がここ数十年の注目すべき成長を遂げるに伴い、国民の食生活はどのように変化してきたのか。その裏にどのような真実が隠れており、果たしてどのように解析できうるものなのか。このたび、何回かにわたって、以上の点にフォーカスして論考を進めたい。
中国の食料生産は歴史的に三つの段階に分けることができる。第一段階は戦争による破壊からの回復と発展、1949年から57年までの時期であった。食料生産量は建国初期49年の1.13億トンから58年の2億トンまでに増加した。
第二段階は人民公社化の始まった58年から、文化大革命終了の77年まで、いわゆる「食料生産の長期低迷期」であった。農業政策の失策と同時に、自然災害もあって、食料生産は60年から61年にかけて1.4億トンまでに、大きく減少した。
第三段階は78年に始まったトウ小平の改革開放以降である。農民に休養を与える必要があるとし、集団的な精神運動を批判するとともに農産物価格の大幅な引き上げを行なった。
制度の転換に加え、高収量作物品種の普及などの技術進歩、化学肥料の生産増加による多肥農業も進み、食料生産は大きく飛躍した。90年代後半は気象条件にも恵まれ、食料生産は極めて高水準で推移し、98年に史上最高の5.12億トンに達したが、
1.農地転用の増加よる耕地面積の減少 2.農産物価格の低迷による作付面積の減少 3.野菜や果物などの換金作物への転換
以上のような理由で2000年以降5億トンを下回り、05年には4.8億トンとなった。
近年、中国の作物生産動向の特徴は、食料需要構造の変化に伴い、穀物の生産量が減少し、それに代わって野菜や果物の伸びが顕著な点にある。生産量で見ると、90年から05年にかけて、野菜と果実は8倍以上増えたのに対して、コメや小麦といった食料穀物は約1割の減少となっている。
食料消費の方法には、穀物を人間が直接食べる直接消費と、穀物を家畜に食べさせそれを人間が食べるという間接消費がある。食料の需給安定で最も基本となるのは、直接消費用食料の確保である。
『中国統計年鑑』によれば、中国における都市部住民の穀物消費量は90年から減少し、05年に至って、85年の57%程度の水準となった。同様に、農村部住民の穀物消費量も97年から減少し始め、05年には85年の87%程度に落ち込んだ。主食は満ちたり、そのほかの食物の消費量が増えていることを示している。
間接消費量について、最も重視されているのが飼料食料の消費量である。FAO(国連食糧農業機関)によれば、中国の穀類の飼料用割合から見ると、現在穀類の中で、コメと小麦の飼料割合は低く、大半は食用であり、高粱(こうりゃん)とトウモロコシが飼料用の穀類の55−65%を占め、主要食肉の飼料となっている。近年、高粱とトウモロコシの飼料用割合が増大傾向にあり、肉類の供給が増えているためと思われる。
なお、中国の飼料用食料の消費量を考える場合は、畜産の加工飼料への依存度の低さに特に注意することが必要である。言い換えれば、中国の畜産では農作物の残渣などへの依存度合いが高く、畜産物の増大が飼料用食料需要の増大につながらないという特徴がある。
経済の発展による所得の向上は食料消費の内容を変化させる。一般に食料消費の高度化・近代化と呼ばれる現象は、土地の第一次の生産物、すなわち植物の消費から、この一次生産物を家畜にあたえることによって生産される畜産物消費への移行を指している。
以上の事実より、中国の食生活は食料不足の時代から、主食が満ち足りる状況を実現した。さらに、穀類消費の減少と畜産物消費の増加という特徴を備えた食生活へと移行していると思われる。土地の第一次的な生産物、すなわち穀類の消費は一貫して減少を続けており、この一次生産物を家畜に与えることによって生産された畜産物−肉類の消費量が大きく増加し、食生活の高度化と呼ばれる段階に達し、現在その傾向が加速しているといえるだろう。人口の規模と比例して拡大再生産されるこの構造変化は、間違いなく世界的規模における影響を発生させる。だからこそ、中国の食生活の変化にますます目が離せなくなる。(執筆者:張丹)
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 | 張丹(ちょう たん)
上海華鐘顧問服務有限公司 市場部プロジェクトマネージャー。 2004年、上海市の哲学社会科学企画研究課題である『都市住民消費構造変化及び内需拡大に関する対策研究』(課題コード:2003BJB011)に参加。06年3月、日本奈良女子大学大学院人間文化研究科(博士後期課程)にて社会生活環境学専攻として修了。06年7月より現職。中国食生活・食料消費を中心に、消費者経済学が専門。 |
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