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第2のドバイ目指すブルネイの鍵は港湾インフラ整備

コラムY! 2007/02/06(火) 10:04
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イスラム社会へのゲートウエイ目指すブルネイ(3)−加藤修

  前回はブルネイの優遇政策をはじめとした投資環境のほか、今後の発展のカギとなる深水港の活用について触れた。最終回となる今回は、イスラム社会におけるハブを目指すブルネイの可能性を探る。

  ブルネイはマレーシア、インドネシア、フィリピンなどに囲まれ、周辺地域だけで5000万人の人口を有する。更に、南シナ海を挟んですぐ北にはベトナムもあり、これらアジア地域は中国南部と合わせ世界の経済成長のエンジンでもある。

  こうした地理的要因、近代的なインフラ、貴重な深水港からは、アセアン域内FTAを活用したビジネスが見込まれるほか、「世界の工場」中国−アセアン地域と太平洋地域全体、そして世界をつなぐ物流ハブへと発展する材料が揃っているともいえそうだ。

  加えて、ボルネオ島内、特にマレーシア領のサバ・サラワク両州との結びつきを強めることにより、その港湾インフラをより活用することが可能となる。例えばシンガポール政府が行っているインドネシア・バタム島やベトナム南部での工業団地開発と同様に、サバ・サラワク両州やインドネシアで工業団地を設置し企業誘致を図った上で物流需要を創出するなど、香港やシンガポールと同様の発展スキームも考えられよう。

  また、ブルネイの将来性を考えるうえでもう一つの要素になりうるのが、イスラム世界への玄関口としての可能性だ。ブルネイ国民は約70%が敬虔なムスリムで、イスラム教が人々に深く浸透し、生活の一部になっている。しかも外資規制は比較的緩やかで、政情は安定しており、港湾インフラも活用できる。

  世界最大数のムスリムを抱える国である隣国インドネシアをはじめ、東南アジア・東アジアだけでも2億8000万人、南アジアまで入れれば7億人、全世界で15億人ものムスリムがいるといわれる。しかも、世界で現在人口増加の激しい国家・地域は、イスラム教をマジョリティーとする国家・地域であることが多い。彼らの信仰に基づく文化的特異性は、対応した商品・サービスへのロイヤリティーの高さにもつながり、マーケットとしての魅力は十分あると考えられる。

  例えば食品産業など、ブルネイを拠点にまずは東南アジアの、そして全世界のムスリムをターゲットとした事業への参入が考えられる。政府関係者によれば、ブルネイ王室によるハラル(イスラム教徒が食べることを許されたもの)の認証ブランドを立ち上げ、世界的なブランドに育てようという計画もあるという。日本のハイレベルな食品加工技術への期待は大きく、意欲的な日系企業にもぜひ参画してもらいたいとのことであった。

  これまでは情報不足もあって、エネルギー関連以外の分野でブルネイが投資先として着目されることは多くなかった。今後、世界の投資家の目をブルネイに引き付けるためには、豊富な資金源を活かし、ドバイ・ポートが行っているような世界の港湾への出資で海外の物流網との関連付けを進めることや、有利な税制や外国人労働力を活用した意外に安いオペレーションコストを積極的に宣伝していくなど、さまざまなアイデアの創出と実行が待たれる。ドバイのように大規模なインフラ建設で注目を引き、世界の企業が新たなビジネスを求め集まってくるような工夫も必要かもしれない。

  資金的に有利な現在の環境を将来につなげていけるのか。第2のドバイを目指していけるのか。また日本として、日系企業として、この変革期をチャンスとできるのか。同国を巡る環境は、ビジネス面で大変面白い時期にきているようだ。(執筆者:みずほコーポレート銀行香港支店 中国アセアン・リサーチアドバイザリー課 次長・加藤修)

※本コラムはいかなる助言を含むものではなく、これによって生じた損害について、当行は責任を負いません。

■関連サイト
みずほコーポレート銀行 香港支店

【執筆者】
加藤 修(かとう おさむ)
みずほコーポレート銀行香港支店
中国アセアン・リサーチアドバイザリー課 次長

横浜国大経済学部卒。1988年富士銀行入行。上海、大連、北京、香港に延べ14年の駐在経験を持つ。1998年中国康富国際リース取締役、2001年香港支店国際金融課長を経て現職。中国を中心にアセアン10、インド、バングラデシュ等へも頻繁に出向き、アジア全域の投資環境に精通。専門は中国・アジア地域に展開する日系企業のビジネスモデル研究及び中国・アジア投資論。各種メディアを通じ中国およびアジアにおける「中国+1」の最新動向を発信するなど、香港・東アジアを代表する投資アドバイザーとして活躍。

  • 論説(過去のコラムの一覧)


  •   写真手前の二つの建物は、“国王のショッピングセンター”「ヤヤサン・ショッピング・コンプレックス」。奥に見えるのが、オマール・アリ・サイフディン・モスク(通称「オールド・モスク」)。(提供:みずほコーポレート銀行香港支店 中国アセアン・リサーチアドバイザリー課)


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