【特別企画】中国株リーディング企業 トップインタビュー 第3回−楊洪明・大唐国際発電副総経理
2003−2004年ごろにかけて、中国株の代表的なセクターとして電力がもてはやされた。しかしその後、石炭価格の急騰などの煽りを受けて、例外を除いて、電力セクター全般の業績や株価はぱっとしない時期が続いた。そうした逆風にあっても、株価を順調に伸ばし、増益を維持してきた例外こそが、華北を主な事業エリアとする中国有数の独立系電力会社である大唐国際発電股フェン有限公司[香港上場、大唐国際発電(ダタンパワー)、0991]だ。
業績の好調さを物語るように最近では10割無償も計画している(2007年7月実施)。国有企業でありながら、(個人投資家含めた)株主に「顔が向いている」同社の副総経理が、同社の現状や事業戦略、今後の展望について語ってくれた。
問:御社では、中国マーケットの現状や政府の経済・金融政策に対してどのような見解をお持ちでしょうか。例えば、対外開放による金融業界への影響、過熱する不動産投資といった問題への政府の取り組みについて、どのように評価なさいますか。
楊:政府のマクロ政策は国有、民間を問わず、あらゆる企業を対象にしています。一方、投資家には勢いのある民間企業を重視する傾向があります。一般の投資家にとって、「国有企業は管理の立ち遅れた古くさいもの」という印象が根強いからでしょう。
当社は、上場10年になる国有企業です。社内改革を進め、民間企業に引けを取ることのない活力ある企業に成長してきました。その経営内容は、中国の大型国有企業として高く評価されています。
株主は、上場企業に対して経営内容の公開を求めます。当社では、このような市場のニーズに応えるために「透明性」を重視した情報公開を行い、それによって表彰されたこともあります。また、国有企業として中国政府の政策に準じた企業経営を行っています。
ここ数年、第三次産業(サービス産業)が目覚しい勢いで成長していますが、国の基盤となるのはやはり鉄鋼、セメント、電力といった製造業・インフラ業です。国有企業は、国の工業化を支えています。そして今、中国のインフラ産業は大いなる飛躍の時機を迎えています。
問:御社が特に重視している事業についてお聞かせください。そして、それついては今後どのように強化していく方針ですか。
楊:いうまでもなく、当社の事業の中心は電力ですが、次第に構造変化が現れてくるでしょう。現時点では、火力発電が発電全体の98%を占めていますが、エネルギー構造には多角化が見込まれますから、2012年までに火力発電の割合は65%に低下、一方、水力発電の割合は25%、原子力発電は9%ないしは10%、風力発電は1%に上昇すると予測しています。
当社は、京津唐(北京市・天津市・河北省唐山市)地区といった中国でも経済成長の著しい、すなわち電力需要の高い地域を中心に電力の供給を行っています。天津濱海新地区や環渤海重化工業区が新しくできたことで、電力需要は大幅に拡大しました。
問:それでは、新たな事業計画についてお聞かせください。また、その事業は将来的にどのような利益をもたらすとお考えでしょうか。
楊:主にバイオテクノロジーを利用した独自の知的財産権を有する技術の開発を行っています。例えば、石炭灰の発生を最小限に抑えるための技術開発などです。
当社は、大型国有企業としての社会的責任(CSR)を非常に重視しています。国有企業というものは、往々にして社会的責任を軽視しがちです。民間や外資に責任を押し付けて、自分たちはそこから逃れることができると思っているのでしょうか。
我々が担う社会的責任は、二つに集約することができます。すなわち、本業を重視して高レベルな電力を安定的に供給していくこと、環境保護と省エネを経営戦略上の重点目標にすることです。
当社は現在、清華大学との共同研究を進めています。その研究成果を応用することができれば、将来的には多大な利益を得ることができると考えています。
問:07年と08年の御社の業績予測についてお聞かせください。
楊:電力ユニットの集中操業や石炭電力価格の影響などで、06年は「コスト問題」に直面しました。それでもやはり業績は好調で、莫大な利益を得ることができました。
先ほども申し上げましたが、中国ではインフラ産業が一大成長期を迎えており、それに伴い電力需要が急速に伸びています。これは、電力会社にとって持続的発展を遂げるチャンスなのです。燃料価格が落ち着き、政策面でのサポートを得ることができれば、当社は07年、08年にも安定した成長を維持することができると思います。
問:御社の成長にとって、目下最大のマイナス要因と考えられるものがあれば、それについてお聞かせください。また、御社では、その問題をいかに解決していく方針でしょうか。
楊:マイナス要因として考えられるのは「負債」です。一口に「負債」といっても様々ですが、企業が成長していくための「負債」ならば何ら問題はないのです。
「負債」を減らしたいのなら「投資」を減らせば済みます。しかし「投資」は事業拡大のためのものであり、停止させたり減らすことは長期的にはマイナスで、しかも「負債」の究極の問題は、金融機関から課される「利息」にあるのです。これが企業にとって大きな負担となっています。
そこで、「負債」を減らすために考えられるのが低金利の融資です。当社にとって金融機関から低金利の融資を受けることは、現状としては簡単です。なぜなら、国有企業が抱える国有企業特有の「欠点」が当社にはないからです。
現在、当社の発電所従業員数は妥当であり、国有企業特有の「余剰人員」などありません。その分、経営リスクも小さいといえます。香港証券市場に上場してから10年、完全な市場化を果たしました。管理システムの面では、情報化を実現することにより資金、原材料、生産状況をリアルタイムで把握できるようになっています。
問:08年には北京オリンピックが開催されます。このビジネスチャンスにどのように向き合っていくか、御社の方針についてお聞かせください。
楊:当社は、中国を代表するエネルギー企業として、中国国内、とりわけ首都・北京に電力を供給するという重責を担っています。北京に供給される電力の60%は当社によるものです。「長安街の灯り10個のうち6個を照らすのが大唐」という笑い話まであるのですから。
北京でオリンピックが開催されれば、電力消費量の急増は必至です。当社としても、それに備えて態勢を整えていかなければならないと思っています。
問:2010年の上海万博というビジネスチャンスについては、どのようにお考えでしょうか。
楊:地理的関係や電力の供給範囲から考えると、上海万博との関係はさほど大きくありません。先ほども申し上げましたように、当社の主要な電力供給地域は京津唐地区です。一方で、政府による西部大開発の進展に伴って、当社事業は西側にも拡大を続けております。
問:2010年以降、とりわけ2015年から2020年における御社の事業予測をお聞かせください。海外の投資家からは、2010年以降の中国経済については予測困難との見方もなされていますが、この点についてもご意見をお聞かせいただけますか。
楊:まず、本業である電力の市場シェアを確保して、企業としての基盤を確立することが必要だと考えています。その上で、風力発電、水力発電、火力発電、原子力発電のエネルギー構造を整備していきます。それとともに、国内外における市場開拓を続けて電力を供給します。
当社は、産業チェーンの拡大、石炭や鉄道への投資によって、利益アップにつながる新たな分野を探しています。原料の輸入も重要な問題です、これは国内の原料価格とも関係するものです。
問:海外の投資家に向けて、一言お願いします。
楊:上場以来、アジアの投資家の皆様からは多大な関心を寄せていただき、ありがとうございます。ここ数年で、当社は多くの賞をいただきました。先ほど申しました情報公開の「透明性」による表彰は、香港会計士工会から頂戴したものです。当社の努力と成果を認めていただいたのでしょう。われわれ「大唐」は、中国の電力業界におけるトップ企業として、これからも努力を続けて参ります。(監修:サーチナ・メディア事業部、取材協力・構成:中国新聞社北京総局及び東京支社、協力:東洋証券株式会社)
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