日本食業界の動向(2)
今回は、07年3月に香港の証券取引所に上場し、中国国内に184店舗(07年11月末現在)を展開している「味千ラーメン」を成功事例としてご紹介します。98年に中国に進出して日式ラーメンブームを巻き起こした「味千ラーメン」は熊本市を本拠地に日本全国で約100店舗を展開するラーメンチェーン店(重光産業運営)です。
「味千」は、中国でのラーメンのイメージを価格帯、店舗規模、内装のすべてにおいて覆したといえるでしょう。中国では大衆層を中心に人気の高い蘭州ラーメンは1杯5−8元が一般的でしたが、味千は15−30元で提供しています。また店舗の規模は普通の麺食店はせいぜい30席程度ですが、味千には200席程度の店舗があり、内装も若い世代層が集まりやすいものにしています。
では、その成功要因はどこにあるのでしょうか。
1つはメニューの豊富さです。つまり、一般にいうラーメン店のイメージと違う、なかば居酒屋のような様々なサイドメニューが用意されていることです。これは、生活習慣として何種類もの料理を家族や友人など大勢で食べるのが一般的な中国では、まさに市場に合った方法だといえるでしょう。
次に挙げられるのは、日中の食文化を融合して開発されたメニューです。たとえば豚骨をベースにした麻辣牛肉ラーメンなど、現地の代表的な味や食材を十分に生かしたいわゆる「ご当地ラーメン」などです。また、日本ではラーメンの好みをスープ、麺、具の順で考えることが多いですが、中国では全くその逆になります。そうした中国人の好みをベースにして、具材の種類、量、味が吟味されているわけですが、このように現地に合わせたメニュー開発を行っていることは、成功の要因としては非常に大きいと考えられます。
中国での事業にとって重要とされるブランドの確立にも成功しています。上海では飲食店の成功・失敗のかなりの部分が立地条件に左右されますが、「味千」はショッピングモール、オフィス街、人通りが多いエリアなどに同じ成功組のKFCやスターバックスなどと並んでテナントとして入ることによって、ブランドの構築に努めてきました。
さらに成功のカギとして忘れてはならないのが、、日系企業ではそれほど進んでいない幹部スタッフの現地化です。この施策は中国人のニーズにより合った商品開発とメニュー構成、顧客ターゲットに合った立地や内装、関係政府当局との調整や根回しなどに絶大な力を発揮したはずです。
筆者:樽家邦興(たるや くにおき、Joint B&K−上海皆信商務咨詢有限公司−CEO) 提供:ウェネバービジネス
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