「日本語能力が高い=ビジネススキルが高い」の誤認識
成功するビジネスコミュニケーション(28)
前回のコラムでは中国人・インド人の国別面接ポイントをご紹介しました。今回は日本での留学生を採用するときや海外での社員採用時どちらでも使える、面接時の注意ポイントについてご紹介しましょう。
それは、ずばり「日本語」です。
「日本語のレベルなら、履歴書を読んだり、面接時に会話をしたりすればわかりますから大丈夫ですよ」こんな声が聞こえてきそうですが、「日本語への注意」とはそのようなレベルチェックではありません。
皆さんは、ハロー効果(光背効果)、という言葉を聞いたことがあるでしょうか。フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』では以下のような説明がされています。
ハロー効果とは、心理的効果の一つ。ある対象を評価をする時に、顕著な特徴に引きずられて他の特徴についての評価が歪められる現象の事。認知バイアスの一種である。ハローとは、「後光が差す」という時の後光、聖像の光背や光輪の事で、別名、後光効果、光背効果とも呼ばれる。例として、ある人が難関大学卒であった場合、その人が学力においてだけでなく、人格的にも優れていると思い込んでしまうケースが挙げられる。(一部略)
例にもありますが、日本企業が留学生や外国人社員を採用するに際、「日本語のうまさ」に引きずられて、他の専門能力についてや、自社の社風に合うかどうかなどについても過大評価をしてしまうことがあります。ここで日本語能力が高い=ビジネススキルが高い、と誤った評価をしてしまうと、当然のことながら入社後の職場では不満が聞こえるようになるのです。たとえば(特に中国や韓国など東アジア系社員の場合)日本人社員からすると、「なぜ外見も同じで、日本語能力も高いのに、○○なのか」という、具体的なコメントがでてきます。この○○、には
・TPOにあった服装ができない
・時間概念(遅刻をする、残業をしない)
・言い訳がましい
・ホウレンソウ(報告・連絡・相談)ができない
などが入ることがあります。
ただ、冷静に考えると、皆さんもお気づきのとおり、語学力の高さがそのままビジネス能力の高さには直結しないことは明白です(これは、日本人の場合でも同じで、外国語に堪能な人材=できる社員、と必ずしもならないことと同じです)。
留学生や外国人社員の採用、活用にあたっては日本語能力も当然重要な要素の一つとなりますが、それが唯一の評価ポイントとならないように注意が必要です。(執筆者:小平達也・株式会社ジェイエーエス代表取締役社長)
【関連記事・情報】
・中国・インド―外国人社員の国別面接ポイント(2008/07/09)
・外国人社員と、「性別」だけではないダイバーシティ(2008/06/26)
| 【執筆者】 | ||
![]() | 小平達也(こだいら たつや)
株式会社ジェイエーエス代表取締役社長。早稲田大学「アジア太平洋研究センター・日中ビジネス推進フォーラム」特別講師、東京外国語大学「多言語・多文化教育研究センター・コーディネーター養成プログラム」アドバイザー。大手人材サービス会社で中国・インド・ベトナム等の外国人社員の採用と活用を支援する「グローバル採用支援プログラム」の開発に携わった。(株)ジェイエーエスではグローバル採用及び職場への受け入れ活用に特化したコンサルティングサービスを行っており、その外国人社員の活用・定着に関する豊富な経験に基づいた独自メソッドは産業界から注目されている。 | |
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