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何でも起こりうる中国だからこその現代アート=沈少民 |
【コラム】 Y!
2008/11/27(木) 16:26
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中国現代アートのインタビュー連載。今回は異色の装置作品で世界的に知られるアーティスト・沈少民さん。
――沈少民さんは大変移動の多いアーティストですね。
そうですね。今年はフィリピン、ドイツ、オランダ、シカゴ、ニューヨーク、香港、サンフランシスコ、インドネシア、シンガポールに行きました。フィリピンでは2月にハンストのパフォーマンスを行ない、他の国は私の展覧会で訪れました。私の場合、大がかりな作品を作ることもあって、北京ではほとんど製作しません。材料を求めて西安、瀋陽など外地に長時間滞在して製作します。北京にアトリエが二つありますが、そこは作品の保管場所です。
――どういった材料を使うのですか?
特に決まりはありません。鉄もあれば動物の骨もあります。新しいメディア素材の可能性を追求したいので、美術らしからぬ素材をよく用います。今手がけているのは住宅などの暖房装置を用いた作品です。
――そのような作品は売れるのですか?
美術館や基金会が主に購入しています。ただ、私は売るために作品を作っているのではありません。大切なのは芸術表現を追求することです。出来上がった作品がどうなるとか、そういうことはあまり考えないですね。
<世界が注目する中国現代アートの変化>
――沈少民さんは初めは北京で活動して、それから長らく海外で活動していましたね?
1980年代の終わりからオーストラリアなどにいました。戻ってきたのは2002年です。それまでは北京で活動していましたが、当時の現代アートは半地下の状態でしたから市場が全くありませんでした。当然貧しかったのですが、同じ境遇のロック歌手や詩人たちと交わって理想主義の雰囲気があって今よりも純粋な環境だったように思います。
――戻ってからの中国現代アートの印象はいかがですか?
まだまだ始まったばかりという気がしますね。海外、特に欧米は美術市場が成熟していますが、中国はそうではありません。このあいだ、上海の新聞社のインタビューでも語ったのですが、最近のアートバブルなど美術とは全く関係のない市場操作の話です。中国は現代アートに限らず社会全体において変化が急激なので、作品の値段が上下するのはごく自然なことだと思います。
――現代アートは中国そのものとも言えるわけですね。
欧米が成熟しているというのも美術に限りません。そのことは一方で爛熟、つまり安定している代わりに変化も少なく、デパートなどを見ても中国ほどには人がいませんよね。そういった変化の激しい中国自体を海外が注目している。そのことは中国現代アートについても当てはまります。ただ、現代アートと言えば、そうした国として注目されることだけではなしに、いろんなことが起こりうる中国という場が現代美術の豊富な資源を持っているというふうにとらえることもできます。
<社会に注目することが芸術家の役割>
――社会問題だけでなしに材料1つとっても中国は豊富ですね。
豊富と言えば、中国にはいろんな人、見方があります。私は国内を移動する時は基本的に飛行機を使いません。列車で乗り合わせた人と語ることが思わぬ着想に結びつくことがあります。最近は映像製作を黒龍江省で行なっているので、その題材など寝台車の隣の客からうかがったものでした。
――映像とはどんな作品なのですが?
ドキュメンタリーです。内蒙古と黒龍江省で別々の寺を取材しています。かたや貧しくも信仰心の強い寺、他方は表面上は信仰心が強くても実は拝金主義にまみれた寺です。宗教について考えてみたくて取り掛かりました。
――沈少民さんの作品は装置でもそうですが、考えさせる作品が多いです。
人間の生存の空間が年々小さくなっていることを私は特に注視し、そのことを喚起させる作品を作ろうとしています。動物の骨粉などを用いて動物の骨を作った作品はシカゴでも展示されたものですが、今は科学万能でクローンがはやり自然がどんどん制御されたことへの私なりの批判が込められています。中国で言うなら、社会主義から市場経済に移行して、その過程で起きた問題ですね。私はそれに目を向けるために時には装置作品で時には映像を手がけます。
――批判性は現代アートにとって大切なものですね。
批判性と言うか、社会に注目して見方を提出することは現代アートの1つの特徴だと思います。解決できなくても、見方を提出することです。その意味でアーティストは時に科学者や思想家よりも先見の明を持ちうる存在だと思うのです。(聞き手、文責:麻生晴一郎 企画:サーチナ・メディア事業部)
写真は、動物の骨粉などを用いた骨シリーズの一つ「実験田1号・豆莢」(2004年)。写真下は、北京郊外・環鉄にある沈少民さんのアトリエ。工場の跡を用いている巨大な空間。
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 | | 沈少民(シェン シャオミン)
1956年。黒龍江省出身。ハルビン教育学院美術系卒業後、北京で活動を開始、13年の海外滞在を経て、2002年より再び北京在住。大型の装置作品、パフォーマンスのほか、近年はドキュメンタリー映画も手がけている。 |
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