FXのリスクは何も為替変動リスクだけではありません。FX取引業者が破綻するリスクもあります。堅実な投資家にとっては、むしろ破綻リスクのほうが被害は甚大になる可能性があります。取引業者が破綻したときに、証拠金の大半が戻らないこともありえるからです。
FX取引業者には、経営破綻しても顧客の資産が失われないように、自社の資産と顧客の資産を分別して管理することが義務づけられています。しかし実際には、分別して管理せずに同じ口座に預託しているケースが意外に多いですし、分別管理していても会社の運転資金や損失穴埋めに流用されているケースもあります。
また、分別管理については法令でいくつか方法が定められていますが、仮に法令がしっかり守られていたとしても、顧客の資産が100%戻る保証はありません。小難しい話は割愛しますが、法令で定める分別管理の方法では、顧客の資産を100%保全するためには不完全なのです。一番安全と言われる「信託銀行への金銭信託」であったとしても、取引業者の信託方法によっては、顧客の資産が毀損する可能性があります。
証券業界の場合は「投資者保護基金」があり、証券会社が破綻したときに、顧客に返還する資産に不足が生じても、最大1000万円までが保証される仕組みとなっています。残念ながら、FX業界にはそういう仕組みが出来る見込みはありません。
サブプライム問題の発生によって、多くのFX取引業者は困難な状況に陥っていると思われます。なぜなら、FX取引業者のビジネスモデルは顧客に高いレバレッジをかけて取引してもらうことによって、より多くの手数料収入を稼ぐことだからです。
そのビジネスモデルは既に成り立たなくなってきています。サブプライムショック後の度重なる急激な円高が原因で、顧客の多くが大きな損失を被り、高いレバレッジをかけての取引ができなくなっています。
最近までのFXブームは、緩やかな円安基調によって支えられてきたものです。ちょうど株価が上昇を続けていた2004〜2005年の株式ブームの時と同じように、大半の投資家が勝てる地合いでは、顧客の回転売買の頻度も上がり、レバレッジを効かせた取引の割合も増えるので、手数料収入がたくさん入ってきました。
ところが、そのビジネスモデルが崩壊した今となっては、多すぎるFX取引業者の淘汰が始まり、破綻する取引業者が増えてくるだろうと予想されます。慎重に吟味して取引業者を選ばないと、取り返しがつかないこともありえます。
FX取引業者を選ぶポイントは以下の二つです。 (1)破綻の可能性が非常に低い取引業者 (2)投機ではなく投資をする環境が整えられている取引業者
私のブログ「中原圭介の資産運用塾」では、自信を持って投資家に勧められる取引業者を取り上げています。興味のある方はご覧ください。
金融庁も漸く顧客資産の保護強化に重い腰を上げ、2009年にはFX取引業者に顧客資産の金銭信託を義務づける方針のようですが、これが守れる取引業者もいれば、守れない取引業者もいるのが現実です。
取引業者の選別に自信がない場合は、「くりっく365」のような取引所取引しかやらないのが無難です。この場合は、顧客の証拠金は取引所に預けられるため、全額保護されます。(執筆者:中原圭介 ファイナンシャルプランナー・エコノミスト)
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