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変わる中央美術学院、中国現代アートとの距離=王春辰 |
【コラム】 Y!
2008/12/19(金) 16:23
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中国現代アートのインタビュー連載。今回は今年10月にオープンした中央美術学院・新美術館のキュレーターをつとめる王春辰さんに新しい美術館や中国現代アートの今を語ってもらった。
――新しい美術館は先鋭的なデザインで、今までの中国の美術館とは違った雰囲気ですね。今後ここでどんな催しが開かれるのか、今から楽しみです。
中央美術学院の開校90周年も兼ね、10月18日に日本の東京芸術大学や森美術館など国内外の美術館や美術大学の関係者を招いて盛大に開幕式を行ないました。正式なオープンは来年春の予定で、今は企画を進めている段階です。
――どういった催しが予定されていますか?
中国の現代アート作品の展示がメインになりますが、日本も含めて海外の展覧会も開いていくと思います。それと、日ごろは表舞台に出てこないキュレーターに光を当てた国際キュレーターフォーラムを計画しています。いろいろなことをやっていきたいですね。
<変わる中国美術の最高学府>
――中央美術学院は日本で言えば東京芸術大学にあたる大学ですが、一昔前まではフリーの現代アート作家が台頭する一方で、どちらかと言えば古臭い保守的な美術大学というイメージを持っていました。
以前はプロパガンダ色の強い学校で、フリーの画家たちが築いてきた現代アートはなかなかできなかったのですが、今は現代アートも取り入れているし、フリーの画家たちとの往来も活発になっています。建築、都市計画、ファッションデザインのような新しい学科を積極的に創設しています。キャンパスの雰囲気も変わりましたね。
――キャンパスを歩きましたが、中国の大学を歩いているような気がしませんでした。もはや政府お墨付きの学校ではない雰囲気ですね。
いえ、そこまでではないですね。フリーの現代アートとはまだまだ距離があります。それとは別の話ですが、私はこの大学で現代の撮影・映像アートの批評という授業を受け持っていて、アーティスト志望の学生ともよく接するのですが、最近の美術を志す学生について言うと、確かに技術面ではぼくたちの若い頃よりも進歩しているのですが、教えられたことを上手にできるだけで、創作をする上での思想が足りないように思います。創造性を教える教育がうまくできていないことは課題です。
――若い人のそういう傾向は学生に限らないのでは?
中央美術学院に入る学生は成績も優秀だから余計にそういう傾向があると言えるかもしれません。若い人が技術だけに走りがちなのは今のアート界の環境にもよります。すなわち市場が拡大したことです。互いに作品を真似し合うようなことが起き、しかも、今のままで売れるわけですから市場が1人1人の画家に作風を変えさせない。それでもって芸術をどう見るかの姿勢に欠けてしまう傾向が出ているのだと思います。
<撮影・映像アートのおもしろさ>
――王春辰さんは実に幅広く活動していますね。この秋にも798芸術区で「影像動力学」の展覧会、ニューヨークの「Art Gate Gallery」で「超自然」という中国撮影アートの展覧会、他にイギリスや韓国でも現代アートの展覧会に関わっていますし、韓国では国際現代水墨画展(プサン)でもキュレーターをつとめていますね。
特にジャンルを選ばず、幅広く活動したいです。水墨画はアジアの芸術ですから、現代の水墨画をもっと発展させていきたい気持ちがあります。
――ただ中でも現代アート、それも撮影や映像の展覧会が多いようですが。
中国現代アートは多元的な型式・観念・材料・方法であることが特徴だと思います。すなわち主流が1つだと言うわけでなく、絵画・装置・パフォーマンス・彫刻・環境芸術などさまざまな型式、それに伝統的な方法、現代的な方法など、いろんなやり方が力を持っています。私は新しいスタイルも伝統的なスタイルもどちらにも興味を持っています。ただ、今の現代アートに広く見られる問題意識を最も直接的に表現しうるものとして撮影や映像にはとりわけ興味があります。
――今の現代アートにおける問題意識とは何ですか?
芸術が中国や世界の社会変化に対してどう反応するか、芸術家として社会でどう発言していくかの思考です。こういった意識は中国現代アートに幅広く存在すると思いますし、私も純粋に芸術性を追求する取り組みとともに社会変化に対する反応を追求する取り組みには関心を持っています。写真や映像は新しい手法ですし、直接的に反応を表現できるということがあります。最近展覧会を行なったアーティストで言いますと、劉謹、賈有光、許昌昌、王川、それに若手の陳卓、干洋、蔡衛東たちはみな映像や写真を用いて自分たちの住む世界に対する自分の考え方や新しい世界観を掲示しています。
――今挙げたアーティストは7、80年代生まれの若手が多いですね。
新しい画家に注目して彼らを通じて中国現代アートの新しい動きを理解することを心がけています。60年代生まれのアーティストが強い集団意識や社会意識を持って作品で社会背景のある叙事、たとえば中国の大きな出来事に対するわりと集団的な記憶とかですね、そういったものを表現するのに対して、若い画家は自分の心理や考え方を示す傾向が見られます。
――撮影・映像アートの担い手も特に若手が多いですね。
撮影・映像アートが増えてきているのは世界的な傾向です。若手にそういう人が多いというのは彼らが世界の美術の潮流をよく知っているからだとも言えます。中国の現代アート界ではまだまだ海外の理論の紹介が足りないと思います。私が海外の理論書を翻訳したり、雑誌と関わっているのも、もっと普及させていきたい思いがあるからです。(聞き手、文責:麻生晴一郎 企画:サーチナ・メディア事業部)
写真は、中央美術学院新美術館。地上4階、地下2階。設計は日本の建築家・磯崎新氏が手がけた。写真2番目は許昌昌作品「等待陽光」(2005年)。3番目は劉謹作品「受傷的天使」(2005年)、4番目は賈有光作品「Elements:3」(2008年)
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 | | 王春辰(ワン チュンチェン)
中央美術学院・新美術館キュレーター 1964年、河北省出身。中央美術学院博士課程修了後、キュレーター・批評家として中央美術学院新美術館をはじめ国内外において中国美術の展覧会の企画・運営を行なうほか、海外の美術理論書の翻訳、中・英語による月刊誌「紅芸術」の監修をつとめるなど幅広く活躍。 |
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