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北京で展開する日系画廊、「確信犯的にお客様を驚かせる」 |
【コラム】 Y!
2009/01/06(火) 16:50
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08年4月、日本のミヅマアートギャラリーが北京に画廊をオープンした。今回はその三潴画廊で働く柴田恵子さん。
<北京への進出>
――日本の画廊であるミヅマアートギャラリーが北京に進出したのはどういうきっかけだったのでしょうか?
2007年春に北京のCIGEというアートフェアに東京のミヅマが参加したことがきっかけです。798芸術区などを見ながら、つくづく中国人作家の作品の大きさやそれらを展示できる画廊の規模に驚いて、ぜひ北京にも画廊を作ろうということになりました。
――798芸術区や中央美術学院にも近いエリアですね。
ここは草場地(ツァオチャンディ)と言って、北京のアート街の一つです。三潴画廊の建物は中国の著名なアーティスト・建築家である艾未未さんがデザインしたものです。
――これまでにどういう活動をしましたか?
4月にオープンしたばかりで、2回の展覧会を行いました。最初が「Off the Rails|反主流」展、次が「ジュン・グエン=ハツシバ」展とどちらも東京のミヅマで契約している作家たちの展覧会です。ここは広さが500平米、天井の高さが6メートルと広い空間ですから、東京でできない大きな作品の展示が可能なのです。これからは北京ミヅマならではのアジア、中国の作家も取り上げていきます。
――中国人作家はどういう人たちを取り上げますか?
現在はリサーチをしている段階です。すでに第一線にいる作家ばかりでなく、この画廊と一緒に成長する若手の発掘・育成にも力を入れて取り組んでいこうと考えています。現在は中央美術学院を卒業したばかりの男性画家に制作費なども含めたサポートをしています。色使いに見るべきものがあって、音楽をやったりと視野も広い青年ですが、まだまだ彼の持つ特徴を出しきっていませんから、こちらからの色々なサポートを通して、大きく成長していってほしいと思います。
<変化が早い中国現代アート>
――柴田さんはもともと中国で活動してきたのですか?
いえ、中国で暮らすようになったのは偶然でした。武蔵野美術大学の研究室で助手をしていた時にたまたま中国を旅行したのですが、なんだか思う存分に振舞えなくて、心残りが生じました。2005年頃少しずつ中国現代アートの情報を耳にするようにもなっていて、本来はヨーロッパへの留学を考えていましたが、ヨーロッパであれば3年後も変わらないだろうけれど、中国は変化が大きいので、どうせなら変化の過程の中にいたいと、思いきって中国に来ました。
――実際に中国に来てみて、いかがですか?
国自体の変化と同じで変化が急激です。来たばかりの頃は個性的な作品が多いなと思っていたら、翌年になって他人の作品を真似る傾向が出てきて、798の画廊を回ってみても似たような作品ばかりになって驚きました。最近はこうした傾向も薄れて再び独自な色が出てきていると思います。80年代以降に生まれた新しい世代が出てきたこととも関係があるのかもしれません。あと欧米や韓国など外国の画廊が急激に増えて、中国だけでなくいろんな国の作品が見られるようにもなりました。またここ最近の経済の動向は美術界にも大きな影響があります。中国だけではないですが、多くの画廊が閉まるという話も耳にするようになりました。
――最近では欧米の画商・美術館関係者たちが北京に来て東京には寄らなくなったという話をしばしば耳にします。
日本ではまず日本人がなかなか現代アート作品を購入しません。行政の取り組みなども充分ではないと思います。そして、マーケットも小さいのです。北京には世界の有力なギャラリーがオープンしています。そこがお客様を引き寄せているとも言えます。欧米では早くから中国現代美術が注目されていましたし、東京に比べると北京のアート市場は国際色があるように思えます。ですが、日本の美術も良いものが多いので、注目してほしいですね。
<日本作品の中国での感想>
――中国で画廊を運営していて困ることはありますか?
日本と中国では環境の違いがありますので、困ることはよくあります。たとえば、東京であれば東急ハンズで手に入るようなごく身近なものが北京にはなかったりしますし、これまで電気を用いた作品を比較的多くやってきているのですが、こちらは停電が多いのが困ります。
――これまで主に日本人作家の展覧会をやってきたのですが、中国人のお客さんの反応はいかがですか?
第1回目の「反主流」展では日本画やキャラクター的要素など、日本色の強い作品が多く、そういうことや中国の作品と比べて緻密さがあることなど、中国とは違うテイストに興味を持ってくださり、何度も足を運んでくださるお客様もいらっしゃいました。全体的に関心を持ってくださった方が多く良い反応を得られました。一方で戦闘機を描いた作品(天明屋尚『神風』)を展示したことにクレームを付けるお客さんもいました。
――クレームを受けてどうしましたか?
「なぜ展示するのか?」とのクレームだったので、作家の意図などを説明しました。それでも納得できないという方もいましたし、理解を示してくださる方もいて、いろんな反応があることを知りました。喧嘩をしても仕方ありませんし、そういう反応や思いがあることを理解できないわけではないですから、一時期同じ作家の別の作品に展示替えをしました。色々試しながら少しずつ中国のアート界に溶け込んでいきたいと思います。また今後も面白い展覧会を継続して行い、確信犯的にお客様を驚かせながら、楽しく親しんでいってもらえればと思います。
写真上は、ジュン・グエン=ハツシバ「The Globe Project: The Garden of Globes」展示風景(2008,北京) Photo: TOFUKU Daisuke 画像提供: Mizuma & One Gallery。写真中央は、「Off the Rails|反主流」展示風景(2008,北京) Photo: Judy ZHOU 画像提供: Mizuma & One Gallery。写真下はミヅマアートギャラリー、1994年に誕生。日本人およびアジア人作家を中心に国際的なアートシーンに紹介してきた。国際色が強く、日本未発表の欧米人作家の展覧会も行うほか、ベトナムの現代アートにいち早く目を付けるなど、個性的な活動で知られる。08年4月に北京にも画廊をオープンさせた。(聞き手、文責:麻生晴一郎 企画:サーチナ・メディア事業部)
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| | 柴田恵子
1979年生まれ。武蔵野美術大学芸術文化学科卒業後、中央美術学院芸術管理学科に留学し、北京の画廊で働き始める。現在は三潴画廊に在籍。 |
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