ビジネスコミュニケーション:グローバル会議開催〜5つのポイント

成功するビジネスコミュニケーション(40)

■グローバル会議とは

  日本企業の海外進出の増加に比例するように、定期的に各国社員が日本に集まり、一定期間、時間と共通の課題について共有・議論するというグローバル会議の開催が増えています。かつてはグローバル会議といっても参加者は日本人駐在員に限定されており、一時帰国時の本社会議というような趣が強かったですが、海外売上が増大し現地社員の登用が進む現在では、自社現地法人の社員が各国より参加する、つまり本社主導で現地社員を同じ目的のために束ね、戦力化していくという意味合いになっています。

  対象も各拠点の経営者、管理職、担当者などにわかれ、それぞれの階層別に開催することが一般的です。筆者はグローバルに特化した組織・人事コンサルティングの一環でこのようなグローバル会議の企画・運営なども支援していますので、今回はグローバル会議開催にあたってのポイントをいくつかご紹介します。

■アジェンダ設定をどうするか

  会議開催にあたっては当然のことながらアジェンダ設定(議題設定)が必要となります。アジェンダ設定には大きく分けて以下5つが挙げられます。

1.ミッション

  本社の目指すもの、価値観という長期的な考え方、「ぶれてはいけないもの」の共有・浸透。 

2.事業戦略・計画

  比較的中期にわたる自社の事業戦略の理解。ここでのポイントは、現地社員が日々働く各拠点の部分最適化した事業戦略でなく全社最適を目指し、本社はどのような事業戦略を持っているか、その中で参加者の事業の位置づけ・関わりの理解を促すということになります。

3.業務内容

  本社と各拠点それぞれの業務内容の紹介・共有など。業務内容には関係者全員が関わる、いわゆるグローバル統一の業務と、各拠点での個別性が高いローカル業務に分かれます。

  前者のグローバル統一業務では企画や意思決定の段階で参加することにより、今後の業務運営に際し、より主体性をもってもらえる機会となります。一方で個別性が高いローカル業務に関しては、事例発表などを通じ、「本社の認・称賛(「あなたの仕事をきちんと見守っていますよ、理解していますよ」というメッセージ)」の場とすることができます。

4.拠点間交流・コミュニケーション

  事業のスタートアップ期や再構築期など、そもそもの業務のベースとなる交流・コミュニケーションを強化したい(もしくは十分でないと思われる)ときは、業務内容などとは切り離してコミュニケーションにフォーカスしたセッション等を行い、チームワークを醸成します。これには会議室内でのセッションだけでなく、社外(場合によっては野外)でのアクティビティーなども選択肢としてあります。

5.教育

  上記1〜4も教育研修の一環ですが、自社のケーススタディや財務特訓コースなど、ミニMBAといった趣で知識向上にフォーカスした内容です。この場合、世界中の新任事業部長クラスや、それに続くハイポテンシャル層を対象とするなど、対象・目的も相当細分化されます。

  ここであげた5つ以外にも、事業発祥の地などいわゆる「聖地巡り」をすることによりロイヤリティーを高めるほか、日本本社に来ること自体がインセンティブとして機能をすることもあります。アジェンダ設定に際してのポイントは、上記を限られた時間内で優先順位付けをする、メリハリをつけるということです。これは全社における重要テーマはなにか、また自社事業展開がスタートアップ期、成長期、成熟期、再構築期など、どのフェーズにあるかによって当然大きく異なります。

  今回紹介したグローバル会議は自社現地法人社員を対象としたものですが、オフショア開発の委託先や連結対象ではない現地法人などを対象にするグローバル会議もあり、グローバル連結経営において「グローバルな人的リソースをどう束ねるのか」ということが大きなテーマとなっているのです。(執筆者:小平達也・株式会社ジェイエーエス代表取締役社長)

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【執筆者】
小平達也(こだいら たつや)

株式会社ジェイエーエス代表取締役社長。早稲田大学「アジア太平洋研究センター・日中ビジネス推進フォーラム」特別講師、東京外国語大学「多言語・多文化教育研究センター・コーディネーター養成プログラム」アドバイザー。大手人材サービス会社で中国・インド・ベトナム等の外国人社員の採用と活用を支援する「グローバル採用支援プログラム」の開発に携わった。(株)ジェイエーエスではグローバル採用及び職場への受け入れ活用に特化したコンサルティングサービスを行っており、その外国人社員の活用・定着に関する豊富な経験に基づいた独自メソッドは産業界から注目されている。