日本で就労する外国人のカテゴリーと「海外高度人材」の動向
成功するビジネスコミュニケーション(41)
筆者はグローバルに特化した組織・人事コンサルティングを通じて、国内・外の日本企業が海外の優秀人材を活用する支援をしていますが、この数年は活動領域が広がっており、議員や職員など地方自治体関係者に対しては国立大学法人東京外国語大学 多言語・多文化教育研究センター「多文化コーディネーター養成講座」政策コースのアドバイザーをしていますし、公務として厚生労働省「企業における高度外国人材活用促進事業」調査検討委員会の委員もしています。
このように、企業のみならず政府、大学等各分野が注目し始めた外国人社員ですが、企業における外国人社員について近年では「海外高度人材」「外国高度人材」「高度外国人材」など、いろいろな呼び方があるようです。今回は「海外高度人材」についてご紹介しましょう。
■日本で就労する外国人のカテゴリーと定義
まずは日本で就労する外国人をカテゴリー別に把握をしたうえで、海外高度人材の定義についてみていきたいと思います。日本で就労する外国人のカテゴリーには出入国管理および難民認定法上、以下の4つの形態での就労が可能であると考えられています。
(1)就労目的で在留が認められる者(いわゆる「専門的・技術的分野」)
範囲は「産業および国民生活等に与える影響」を総合的に勘案して個々の職業毎に決定されます。「高度な専門的な職業」(※1)、「大卒ホワイトカラー、技術者」(※2)、「外国人特有または特殊な能力等を活かした職業」(※3)に大別され各在留資格に定められた範囲で報酬をうける活動が可能(※4)。
※1 「高度な専門的な職業」にあたる在留資格には「教授」「投資・経営」「法律・会計業務」「医療」「研究」「教育」がある。
※2 「大卒ホワイトカラー、技術者」にあたる在留資格には「技術」「人文知識」「企業内転勤」がある。
※3 「外国人特有または特殊な能力等を活かした職業」にあたる在留資格には「国際業務」「技能」がある。
※4 「専門的・技術的分野の在留資格」にはこれら3つの区分以外に「芸術」「宗教」「報道」「興業」も存在する。
(2)身分に基づき在留する者
「定住者」(主に日系人)、「永住者」、「日本人の配偶者等」等が対象となり、これらの在留資格には在留中の活動に制限がないため、様々な分野で報酬をうける活動が可能。
(3)特定活動
「技能実習」「EPAに基づく外国人看護師・介護福祉士候補者」「外交官等に雇用される家事使用人」「ワーキングホリデー」等が対象となり、「特定活動」の在留資格で日本に在留する外国人は個々の許可の内容により報酬をうける活動の可否が決定される。
(4)資格外活動
「留学生のアルバイト」等が対象となり、本来の在留資格の活動を阻害しない範囲内(留学生:1週間28時間以内、就学生:1日4時間以内)で相当と認められる場合に報酬を受ける活動が許可される。
日本で就労する外国人のカテゴリーとして以上4つの形態が挙げられます。日本には就労を目的とし在留資格を取得している外国人のうち「高度人材」についての定まった定義はありませんが、内閣府に設置された高度人材受入推進会議では「就労可能な在留資格である専門的・技術分野の在留資格を有する外国人労働者」としているため、上記(1)就労目的で在留が認められる者(いわゆる「専門的・技術的分野」)が海外高度人材の対象とするのがもっとも一般的であり、国民的コンセンサスも得やすいのではないかと筆者は思います。また、呼称については政府においても省庁によって異なることがあり、海外高度人材に相当する用語としては、外国高度人材(内閣府 高度外国人受入推進会議)、高度外国人材(厚生労働省「企業における高度外国人材活用促進事業」)などが用いられる場合もありますが、意味するところは海外高度人材とほぼ同義です。
■海外高度人材の動向
次に海外高度人材の動向を見ていきたいと思います。
2008年末時点で日本に在留する外国人の総数は221万7千人であり、2004年末と比べ5年間で24万4千人と11%増加しています。このうち海外高度人材に相当する就労目的外国人は18万2千人おり、同期間における増加数は6万9千人(40%)と急速に増えています。18万2千人のうち、「人文知識・国際業務(6万7291人)」「技術(5万2273人)」の2種類の在留資格が海外高度人材の7割弱を占めていることから日本企業における海外高度人材受入に際しては「専門的・技術的分野」の在留資格の中でも、とりわけ「人文知識・国際業務」「技術」を主要なものとして捉えていく必要があるでしょう。
また、この2つの資格により日本で就労する海外高度人材は日本の大学で学んだ元留学生だけでなく、海外の大学を卒業し、日本企業での就職のために来日する外国人も含まれています。いわゆる文系人材(在留資格では「人文・国際業務」)では2008年の新規就業者合計 1万4727人のうち、主に海外からの新規来日が6864人、留学生の就職は7863人と、留学生のほうが少し多いです。
一方、理工系人材(在留資格では「技術」)同年の新規就業者1万3040人のうち、海外からの新規来日が1万626人に対し、留学生の就職は2414人にとどまっており、海外から新規に来日する人材が留学生の4.4倍にもなっています。つまり、海外高度人材のうち、いわゆる文系人材の主な供給元は留学先である日本の大学である一方、理工系人材の供給元は海外の理工系大学等教育機関となっているということなのです。
今回は日本で就労する外国人のカテゴリーと定義、海外高度人材の動向をご紹介しましたが、皆さんが一緒に仕事をする外国人社員はどのカテゴリーに分類されるでしょうか。同じ「日本で働く外国人」でもいろいろなタイプがあることがおわかりいただけたと思います。(執筆者:小平達也・株式会社ジェイエーエス代表取締役社長 編集担当:水野陽子)
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| 【執筆者】 | ||
![]() | 小平達也(こだいら たつや)
株式会社ジェイエーエス代表取締役社長。早稲田大学「アジア太平洋研究センター・日中ビジネス推進フォーラム」特別講師、東京外国語大学「多言語・多文化教育研究センター・コーディネーター養成プログラム」アドバイザー。大手人材サービス会社で中国・インド・ベトナム等の外国人社員の採用と活用を支援する「グローバル採用支援プログラム」の開発に携わった。(株)ジェイエーエスではグローバル採用及び職場への受け入れ活用に特化したコンサルティングサービスを行っており、その外国人社員の活用・定着に関する豊富な経験に基づいた独自メソッドは産業界から注目されている。 | |
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