中国株:創業板取引開始、初日は暴騰、今後乱高下も=田代尚機

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レッド・センセーション on サーチナ 第69回−田代尚機

  遂に創業板取引が開始された。上場企業数は28社。一部国有企業もあるが、大半が民営企業。農業設備製造、化学、漢方薬、検査装置、電機・電子部品、通信機器、アウトドア用品製造、ソフトウエア開発、倉庫、眼科病院、映画会社など、多彩な顔ぶれである。

  9月後半から3度に分けてIPOが行われ、公募額は合計で154億7832万元に達した。それぞれ凍結された資金額は、7841億元、4688億元、6200億元。公募額の合計額は、今年A株上場した中国中治、中国建築などと比べると小さいが、資金凍結額の合計は上回っており、市場へのインパクトは、超大型株1社のIPOほどであったといえよう。

  公募の当選率は0.39〜1.26%で、平均0.8%。160万元(2128万円相当)公募に応じて、やっと最低単位である500株が当たるといった状況である。金額に応じて割り当てられるので、零細個人投資家がIPO株を手にする可能性は皆無に近いといえよう。

  公募価格で計算したPERは40〜82倍、平均で55倍。利益が出る前の段階での上場なので、PERは高くて当然ではあるが、急成長しないことがはっきりしてくると、株価は激しい下落に見舞われるであろう。

  これらが公募前の基本状況。初日の取引はどうであったかといえば、いずれも暴騰。まず、初値は公募価格と比べ、46.1〜122.8%上昇、平均で76.5%上昇となった。終値ベースでは、75.8〜209.7%上昇、平均で106.2%上昇となった。

  初値で買った場合、終値では1.6〜70.7%上昇、平均17.0%上昇した。一方高値で買ってしまった場合、終値では▲5.1〜▲35.6%下落、平均で▲28.5%下落した。多くの銘柄が後場寄り直後、高値を付けたが、その後は大きく下落している。

  その日の出来高を公募株数で割った換手率は86.4〜91.0%、平均88.9%。本土市場ではデイトレードが禁止されている。また、すべての企業でベンチャーキャピタルを含め既存株主は1年から3年の間、売却、譲渡しないことを宣言している。つまり、この日売り出された株式は、すべて公募株。極端な“売り玉”不足である。上場先である深セン取引所は場中、何度か取引を停止し、投資家に冷静さを取り戻すように促さざるを得ない状況となった。

  創業板初日は、各社とも激しい動きとなったが、これはA株上場でよく見られる光景である。日本のマスコミなどは中国の投資家が未熟であるといった評価をするところもあるようだが、それはどこの国の投資家も同じ。問題は、もっと技術的なところにある。

  一般に上場初日の株価変動は不安定。特に“売り玉”が不足し易い。他国市場では、主幹事証券が創業者やベンチャーキャピタルと相談し、急騰した場合は彼らの持ち株の一部を売ることができるようにあらかじめ決めておき、主幹事証券の裁量で株価安定操作を行うことが多い。

  香港ではオーバーアロットメントオプションといって、主幹事証券は上場後1カ月間に限り、一定の限度額までの株式を売却することができるといったオプションを付けて上場することが多い。株価が急騰する場面では主幹事条件が売り向かって株価を安定させるのである。1カ月経過した時点で、売却した株数を公表、その分だけ増資したことにするといった制度である。

  中国証券監督管理委員会は、創業者、ベンチャーキャピタル、証券会社の悪意を警戒し、彼らに対する監督管理を徹底できないことを心配している。当面、上場時には株価は乱高下するといった状況が続くのであろう。投機を行う投資家にとっては都合が良いが、長期投資家にとっては都合が悪い。長期投資目的なら、上場後数カ月が経過するのを待ち、株価形成が安定した後、取引に参加すべきであろう。

  月曜日からの取引は、A株同様、10%の値幅制限が課せられる。A株上場では度々、2日目はストップ安となるケースがみられる。また、2日目はストップ高となるケースもあるが、そうしたケースでは、その後ストップ安で帰ってくることも多い。しばらくは荒っぽい動きが続くであろう。これもまた中国株式市場の特徴である。(執筆者:田代尚機 TS・チャイナ・リサーチ(株)代表取締役 編集担当:水野陽子)

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【執筆者】
田代尚機(たしろ なおき)

1958年生まれ、愛知県出身。84年東京工業大学大学院理工学専攻修了。84年から2003年まで(株)大和総研に勤務。入社後、ベンチャー企業に関する投資審査、中堅企業への経営コンサルティング、某官庁でのマクロ調査などを経験。94年から2003年にかけて、大和総研の代表として北京に駐在。引受リサーチ、中国経済担当エコノミスト、中国株担当アナリストとして活動。2003年10月から2007年2月まで、内藤証券(株)に勤務。中国部長としてプロモーションを中心に中国ビジネス全般を担当。2007年3月、出資者の一人としてリード・リサーチ・アンド・プロダクツ(株)を設立。証券会社向けに中国株ビジネスに関するコンサルティングを行う。2007年5月、独立、現職。社団法人日本証券アナリスト協会検定会員。著書に『レッド・センセーション好機到来!今こそ中国株投資』(2006年、角川SSC社)など著書多数。

TS・チャイナ・リサーチ株式会社
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