外国税額控除で、配当にかかった税金を取り戻すための注意点

コラム2010/02/20(土) 16:41 
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シロウト個人投資家の中国株あれこれ 第153回−さますの

  前回に引き続きの確定申告シリーズ、今回は「外国税控除」に関するお話です。でもその前に、前回のコラムについての補足訂正を、ちょっとだけさせていただきます。

◆配偶者控除や国民健康保険料への影響は、居住地の担当課で確認を!

  前回のコラム「配当を損益通算して税金を取り戻す!……でも損になるケースも」で、「配当収入を、繰越し損失で損益通算した場合、配偶者控除や国民健康保険料などに影響が出る可能性がある」という話題がでました(詳しい内容については、前回のコラムをご覧くださいね)。

  この記事については、日経ヴェリタスやマネー雑誌の特集記事を参考に書いたのですが、読者の方から「私が住んでいる市役所に問い合わせたら、繰越しで損益通算した後の金額を使うとのことでしたよ」というご指摘をいただきました。

  この方式ならば、繰越し損失で、配当を損益通算しても、国民健康保険料への影響はおさえることができることになりますので、納税者にとってはありがたいお話です。

  国税庁のHPを見てみますと、扶養控除の判定については、「繰越控除の適用を受けている場合には、その適用前の金額になります」という記載がありますので、扶養控除を受けている方は、繰越で損益通算をする場合には気をつけなくてはならないのは間違いないところだと思います。

  しかし、国民健康保険料の算定については、そもそも自治体によって、その方式にかなりのバラつきがあり、一般化するのが難しいという現状があります。配当所得について繰越控除の適用を受ける場合、国民健康保険の算定に使われる金額を、どの段階のものを使うか(繰越控除適用前の金額か、適用後の金額か)については、お住まいの市役所や役場の税制課や健康保険課などへ確認していただくのが確実かと思いますので、よろしくお願いいたします。

◆中国株でも、確定申告で外国税額控除を行えば、税金が戻ってくる?!

  さて、ここからが今回のコラムのメインテーマです。外国税額控除……ちょっと聞きなれない言葉ですよね(かくいう私も、去年初めて知ったんです……) 

  これは、外国と日本国内での二重課税を調整するための措置で、租税条約が結ばれていれば、外国で差し引かれてしまった税金を、確定申告で取り戻すことができます(⇒詳しくは、国税庁の外国税額控除の説明ページへ)。

  米国市場で取引されているETFやADR、個別銘柄へ投資をされていた方の場合、配当から10%の税金が、あらかじめ米国でも源泉徴収されていますので、外国税額控除の申請をした経験がある方も、このコラムをお読みのみなさんの中にはいらっしゃるかもしれませんね。でも、外国株への投資は中国株がメインという方は、この「外国税額控除」の話は、今回が初めてという方がほとんどではないでしょうか。

  というのも、中国株の場合、これまで現地税とは無縁だったんですよね……。配当からも譲渡益(売却益)からも、中国(香港)では税金がかからなかったんです(は〜、なんと素晴らしい世界!!)。なので、配当についても、国内での税金のみが源泉徴収されていたわけです。

  と・こ・ろ・が! 2008年から、中国株の一部の銘柄については、配当に10%の税金が中国本土で源泉徴収されることになってしまいました。

中国株の税金 配当に、現地税がかかる場合とかからない場合 - 第150回コラム

  本格的に源泉徴収が始まったのが2009年からですので、まさに今回の確定申告から、中国株の配当について、外国税額控除を考える方が増えてくるのではないかと思います。

  「よし!だったら、確定申告して、二重課税された税金を取り返しちゃうぞ〜!」といきたいところですが、チョット待ったー!!

  外国税額控除については、確認しておくべき点がいくつかあります。

◆配当にかかった税金を、外国税額控除の確定申告で取り戻したい場合の注意点

1.もらった配当から、現地税が源泉徴収されているか?

  そもそも、外国で税金がひかれてなければ二重課税になりませんので、当然税金も戻ってきません。中国株の場合、配当への現地課税が行われているのは、H株、およびレッドチップの一部の銘柄です。以前のコラムでも書きましたように、H株であっても、配当から現地税が徴収されていない銘柄もあったりするようでして、現地での対応がイマイチはっきりしないところがあります。

中国株取引に関する税金 配当等に課せられる税金 - 内藤証券

  ですから、まずはお手持ちの銘柄の配当から、現地税がひかれているかどうかを、配当の支払い調書などから確認してみましょう。

2.管轄の税務署へ、外国税額控除は、総合課税なのか、申告分離課税なのかを確認する。

  当初は、一般の配当控除のケースと同様に、こちらも総合課税で申告しないととダメなのかと思ったのですが、わたしの投資仲間Nさんが、ご自分のお住まいの税務署へ問い合わせた結果は「外国税額控除の場合は、申告分離課税でOK」だったとか。

  みずほ証券の税金についての説明にも、「上場外国株式については総合課税または申告分離課税のいずれかにより」とありますし、国税庁の申告分離課税のページを見ても、「申告分離課税を選択した上場株式等の配当所得については、配当控除の適用はありません」とあり、外国税額控除についてダメとは書かれていません。

  が、中国株専業の某証券会社への問い合わせによると、そこの証券会社の所轄税務署では「総合課税で」というお答えだったそうで、どうやら、税務署によって対応に差がある様子……?

  総合課税の場合は、一般の配当控除のケースと同様、総所得が高い方は損をすることになりますので、むしろ申告しないほうがよいのですが(一般的には、課税総所得330万円以下なら有利になるとされています)、申告分離課税ならば、申告したほうが有利になるケースがほとんどのようです(※ただし、専業主婦や国民健康保険の方は、控除から外されたり、保険料があがったりなどの影響を受けて、後々不利になることがあります)。

  総合課税なのか、申告分離課税なのかは、非常に重要なポイントなのですよね……。

  なのに、税務署によって対応が異なるのは腑に落ちませんが、どうやら昨年までは、外国税控除は総合課税でのみの申告だったそうですので、そのあたりの事情が影響しているのかもしれません。

  せっかく確定申告しても、「外国税額控除は総合課税でないとダメですから」とつっ返されても困ってしまいますので(そこで、しつこく粘れば大丈夫になる可能性もありますし、そこまでチェックされない可能性もありますが)、あらかじめ管轄の税務署へ確認をとっておくほうがよいのではないかと思った次第です。

3.扶養者控除や国民健康保険料に影響する可能性があるので、該当する方は注意。

  外国株の配当について、外国税額控除の申告をした場合、その分だけ総所得が増加することになりますから、扶養者控除から外されてしまったり、翌年度の国民健康保険料がUPしてしまう可能性があります。

  もちろん、これは必ずそうなるというわけではなく、「そうなる危険がある方もいますよ」ということなのですが、せっかく税金を取り戻そうと思って、手間暇かけて確定申告した結果、けっきょく損をしてしまう……というトホホな結果にならないよう、あらかじめ、ご自分の場合は大丈夫かな? というのを確認しておく必要があると思うのです。

  特に、国民健康保険の場合は、自治体によって算定方式が異なるため、確定申告の課税総所得は関係がない自治体もあると思います。ですから、やたらめったら心配する必要はないのですが、一方で、課税総所得が大きく影響する自治体も多いですので、やはりお住まいの自治体での算定方式を確認しておいたほうがよいと思います。

  以上、外国税額控除についての注意点をあげてみましたが、いかがだったでしょうか?(ちょっとマニアックな内容になってしまいスミマセン)。

  扶養控除や国民健康保険の問題がある方のケースについても言及していますので、一見すると複雑な話に見えますが、扶養控除や国民健康保険が関係ない方の場合は、所轄の税務署に「外国税控除が、申告分離課税で申告可能か?」を確認さえしておけば、申告すべきかせざるべきかの判定はできるのではないかと思います。

  もっとも外国税額控除の確定申告表を作る作業そのものが、メンドウくさいという問題はあるのですが……(笑)。でも申告によって戻ってくる金額が、けっこうまとまった金額になりそうな方は手間をかけてもやる価値はあるかもしれません(1度やっておけば、翌年からは楽になると思いますし)。

  逆に、申告しても数千円しか戻ってこないなんて場合は、労力や時間との兼ね合いを天秤にかけて判断したほうがよいかもしれませんので、そこは各自、臨機応変に。もちろん扶養控除や国民健康保険料の問題がある方は、さらに慎重に判断してくださいね。

  それにしても、確定申告や税金の問題は複雑で難しい! 税務署によって言うことが違っていたりで、イロイロな情報が錯綜しています。ぜひ、ご自分がお住まいの管轄税務署で、最終的な確認をされることをお勧めいたします。それでは再見!

※このコラムの内容は、個人投資家である筆者が調べた内容や、まわりの個人投資家さんの経験談をもとに書いていますので、その点ご承知おきくださるようお願い申し上げます。
※確定申告や税金についての制度は大変複雑です。それぞれのケースによって違いがあることも多いですので、ご不安な点があれば、管轄の税務署や税理士さんへのご相談をされることをお勧めいたします。(執筆者:さますの)

【執筆者】
さますの(ペンネーム)

30余年の間、定期預金ひとすじ。なんの疑問も持たず生きてきたが、ゼロ金利が続く事態に危機感を感じ、2003年、とつぜん投資に目覚める。

最初は日本株から始めたが、2003年12月、おっかなびっくりで中国株の世界にも足を踏み入れる。現在、中国株は、日本株などの投資対象と組み合わせた資産運用の一角として位置づけ。

●関連サイト
・さますのさんホームページ「なげやり的中国株対決!


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