データ復旧のプロに聞く、HDDに発生しやすい症状と障害ランキング(上)

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データ復旧技術員が原因と対処法を伝授(上)

  パソコンに保存されているデータは全てハードディスク(以下、HDD)という記録媒体に保存されている。そのデータは、法人であれば顧客情報、財務データ、業務に関するデータなどの重要データ、個人の場合であれば写真データや音楽ファイルのデータ等が最も多い。そのHDDだが、超精密機器であるがゆえに修理出来ない事、またある日突然、壊れてしまう事をご存知だろうか。突然のトラブルで大切なデータを失ってしまった際に、どの様に対処すればいいのか。大切なデータをHDDトラブルによって失わない為に万が一障害が発生してしまった場合の原因と対処法を日本データテクノロジー(運営会社:OGID株式会社)の西原世栄氏(論理障害担当)と小菅大樹氏(物理障害担当)に聞いた。同社は2006年から2010年まで6年連続で、データ復旧ナンバーワンの実績がある。(2回シリーズの1)

――データ復旧の依頼を受ける中で、一般的に多い『危険性が高い症状』とはどのようなものですか?

小菅 前提としてHDDの障害は「物理障害」と「論理障害」の2つに分けられ、障害の種類によって復旧の方法が異なります。物理障害とはHDD自体に異常が発生したもので、論理障害は機器に異常はないが、データなど電磁的記録に異常が発生したものです。

  例えば、物理障害は衝撃等によって内部の部品が壊れてしまったりする障害のことです。それに対して、論理障害はデータを消去したり初期化したりしてデータが見えなくなる障害のことを言います。

  今回は私が担当する物理障害において、突然発生する『危険性が高い症状』についてご説明します。

  1番多いのは、パソコンからカチカチといった音が鳴っているケースです。カチカチでしたりカタカタという音は、データ読み取り部品である磁気ヘッドがデータを正常に読み込めず、右に左に動いてしまう事で発生します。磁気ヘッドはレコードでいうところのレコード針のような役割をしています。もし読み込めたとしても、データ保存領域を傷つけてしまう恐れがある症状ですから、通電し続ける事は非常に危険です。

  2番目は、PC起動時にWindowsのロゴの場面で止まってしまう、ブルー画面になる、黒い画面のまま先に進まない等の症状です。これは、OSが書かれているデータ領域に不良セクターが出来てしまってOSが立ち上がらなくなってしまっているケースが多く、他のデータに問題がなくてもOSが壊れたことによって立ち上がらなくなってしまいます。

  3番目は、「ジージー音」がしているケースです。これは、HDDの心臓部であるスピンドルモーターという部品が回転せずにロックしてしまう事で発生する音です。これは長期にわたる使用により、モーターの軸が摩耗したり劣化することに由来します。

  4番目に、「電源を入れても何も反応しない」ケースです。これはHDDの制御基板が電源トラブルによりショートしてしまった場合に考えられる症状です。停電時等によくみられます。制御基板の交換とプログラムの修復によって直るケースがあります。
 
  これらの症状に関しては、落下などの衝撃によって発生するケースもありますが、お客様の元で何もしていないのに発生してしまうケースが多いですね。

――何か衝撃を与えた場合に物理障害が発生するという事なら理解できるのですが、なぜ、何もしていないのに障害が発生するのでしょうか?

小菅 HDDは超精密機器ですので、ご自身では意識していない僅かな衝撃から障害が発生する事があります。また、寿命が3〜5年前後と言われていまして、ご自身では気づかないうちに経年劣化が発生し、障害が発生する事も非常に多いです。ですので、現在は2008年製のモデルが、もっとも多く持ち込まれていますね。

  御相談数としては少ないですが、HDDの使用状況や出荷時の製品の状況によっては運悪く1ヶ月前後で障害が発生するケースもあります。ただ、これはもう本当に運に左右されるので当ってしまったら諦めてデータ復旧業者に頼みましょう。

――物理障害を起こした時に気をつけることは?

小菅 即座に使用をやめてデータ復旧業者に依頼した方が良いです。御自分やメーカーでは絶対に直せないですから。ただ、ヘッドが変形している可能性もあるので、何回も電源を入れたり切ったりすると、プラッターに傷をつけてしまう可能性があります。プラッターに傷が入ってしまったらデータ復旧業者でも復旧は難しいですね。もちろん弊社ならチャレンジできますけど。

  物理障害の場合は、プラッターの傷(スクラッチ)が致命傷といえます。HDDにとっては「ミクロ」の傷でアウト、「ナノ」単位の傷でも大きなダメージを受けてしまうのです。このため、HDDの部品交換を行なう場合は、クリーンルームで細心の注意を払って作業をしなければなりません。クリーンルームを使用しないでも直るなんて謳ってる業者もありますが、かなり危険な発想だと思います。

HDDの部品交換は心臓移植のようなもので、臓器に適合性が問われるように部品にも適合性があります。同じモデル、同じメーカーの部品を使っても一致しない場合があるので、適合情報を経験から保持しているか否か、部品ストックがどれだけあるかが復旧出来るか否かの分岐点になります。弊社は、過去のデータ復旧実績から適合性の情報を蓄積し、7,000台のHDDを持っているので、部品の取り寄せに数週間要したり、部品が適合するまで何回も交換作業を行う様な危険な事はありません。

    また、御自分でHDDを解体する方もいますが、クリーンルームの中以外で解体した場合は、ディスクに大量の埃やチリが付着する危険性が高いです。解体の時に致命的なダメージを与える可能性も大きいので、自分で解体することは避ける。特にMacは複雑な設計をしている為、筐体を分解しHDDを取り出そうとするとHDD以外のPC部品にも障害が発生するケースもあります。(つづく)(編集担当:徳永浩)

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