データ復旧のプロに聞く、HDDに発生しやすい症状と障害ランキング(下)

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データ復旧技術員が原因と対処法を伝授(下)

  パソコンに保存されている顧客情報、財務データ、業務に関わる重要データから個人の写真・動画データ等は全てHDDという記録媒体に入っている。そのHDDが超精密機器であるがゆえに、ある日突然、壊れてしまう事をご存知だろうか。そこで、突然のトラブルで大切なデータを失ってしまった際に、どの様に対処すればいいのか。また、トラブルを起こさないためにはどのようにしたらいいのか。大切なデータをHDDトラブルによって失わない為に万が一障害が発生してしまった場合の原因と対処法を日本データテクノロジー(運営会社:OGID株式会社)の西原世栄氏(論理障害担当)と小菅大樹氏(物理障害担当)に聞いた。同社は2005年から2010年まで6年連続で、データ復旧ナンバーワンの実績がある。(2回シリーズの2)

――論理障害の場合に多いトラブルは?

西原 去年1年間のご依頼では、「ファイルシステム障害」が一番多いです。たとえば、外付けHDDであれば、デバイスマネージャー上では認識されていて、電源は入っているのに、マイコンピュータには何も出てこないケースです。あるいは、マイコンピュータ上にアイコンはあるのですが、クリックすると「フォーマットしますか」と聞いてくる。という症状が全体の20−25%を占めます。

  次は、OSを再インストールしてしまって中のデータが消えてしまったもので全体の20%前後。その次には、間違えてデータを消してしまったものが15%くらい。OSのファイル、たとえばWindowsフォルダのどこかのファイルなどが壊れたというのが15%くらい。さらに、筐体(パソコン本体)そのものが壊れてアクセスできなくなったというのが15%くらいありました。

――論理障害の原因は?

西原 論理障害は「予期しない電源断」(停電などを含む)によるものが多いですが、一般的には要因が特定しにくいです。作業のひとつひとつが理由になるといえ、手順どおりに作業していても障害は発生してしまいます。

 気付きにくいが実は論理障害が発生している症状もありますのでご紹介します。たとえば、Windowsで、「シャットダウンしています」という画面が普段よりも長いことがあげられます。少し長いと気がつきますが、「1秒、2秒の差だから」と気にも留めないのが普通でしょう。しかし、わずかにシャットダウンの時間が長いという時はファイルシステム異常が発生している可能性が非常に高いです。長く使えば使うほど、こういったエラーは置きやすいと考えた方がいいです。

 あえていえば、電源のオンオフの瞬間に障害になるケースが多いので、電源は入れっ放しの方が良いのですが、そうすると物理障害の要因になる可能性も否定出来ないため、一概にどちらとは言えないです。まあ、物理障害よりも論理障害の方が復旧しやすいという点はありますね。いずれにせよ、必要なデータは小まめにバックアップしていくという使い方をおススメします。

――もし、論理障害になった場合の対処方法は?

西原 すぐデータ復旧の専門家にご相談いただく事が一番です。後、覚えておいて欲しい事としてトラブルになった時は、「市販のソフトを使わない」という事です。

市販の復旧ツールはHDDに大きな負荷をかけます。基本的なデータ復旧ツールの仕組みは、数億というデータ情報を一つずつ見に行くので、通常の作業に比べてパソコンへの負荷がものすごく大きくなります。例えば、320GのHDDですとデータを見に行く作業に4−5時間かかります。その上、ソフトを使った場合、使用情報がディスクに書き込まれてしまいますので、最悪の場合、削除されたデータの復旧をしようとしたがデータが上書きされ二度とデータが取り出せない、という事態が発生する恐れもあります。

 基本的に先程ご説明した症状が発生したら、シャットダウンして、そのままデータ復旧業者に持ち込むことが一番確実にデータを取り戻す方法といえます。間違って大事なデータを削除してしまったら、すぐにシャットダウンして電源を落とすとデータは全て取り戻せます。これは、例えば意図的にデータ保存作業は止められますが、インターネットで何かを検索したりすると、インターネットのキャッシュ情報が上書きされて、データが完全な形で復旧できないことがあるからです。

――RAID障害の場合はどのように対処すればいいのですか?

西原 例えば、RAID5で運用されている場合は、1つのディスクが壊れても大丈夫な仕組みをしています。この様な状況では、障害が発生した時にディスクを自分で入れ替え、RAIDを再構築するのが通常の対応でしょう。しかし、入れ替えるのは危険性が非常に高いのです。なぜなら、ディスクを入れ替えリビルドすることで再構築は完了しますが、リビルドによってRAIDレベルが変わってしまったり、データがすべてフォーマットされてしまう事も非常に多いからです。

完全にリビルドされたHDDからデータを復旧する事は不可能ですから、確実にデータを取り戻したいと考えた場合は、故障した段階でデータ復旧業者に依頼したほうが良いです。
 
  また、RAIDのファームウェア自動更新でデータが無くなってしまったケースも多いです。RAIDの場合は、正常に使えていればファームウェアアップデートの必要性は低いので、更新通知をオフにしていればこれは解決します。

――データを安全に保存するためには、どうすればいいのですか?

小菅 『定期的にバックアップを取る事』、『HDDは3年を目処に買い換えを検討する事』の2点が重要です。HDDは現時点で機能面、コスト面の両面で最も優れた記憶媒体の一つではありますが、機械ですのでやはり耐用年数があります。そして、HDDほどの超精密機器ですと障害に弱いという面も持ち合わせていますので、『HDDは消耗品』と考えておくのが良いと思います。

  また、暑いところでの使用は避ける。埃にも弱いので、床に直接HDDを置いて使うようなことも避けたほうが良いです。

――なるほど『バックアップ』と『定期的HDDの買い換え』が必要なんですね。万が一障害が発生してしまったらどういう業者に相談するのがいいのでしょうか。

小菅 復旧実績の多い業者を選んで復旧依頼をした方が、より多くのデータが戻ってくると考えていただくとわかりやすいかと思います。他社様で復旧出来ず弊社にお持込みされた機器で考えられない復旧作業をされたような形跡があった事がありました。いくつか例をあげると、データ情報を記録するプラッターが裏表逆についているものがあったり、代えなければならないチップと別の部品を取り替えようとした、普通では考えられない状態で持ち込まれたりしています。作業中、プラッターに傷をつけてしまったりもするので、復旧実績をみてご相談する業者を決定する事が、データを守ることにも繋がると思いますね。

――最近では個人で利用する方も増えているRAID・サーバー機器のデータ保存方法は一般的なデスクトップパソコンやノートパソコンとは違いますか?

西原 RAIDの場合も同じで、そもそも壊れるものであるということを大前提にして使用して頂きたい。RAIDも中身はHDDなので、3年位でいつ壊れてもおかしくない状態にあると考えてください。3台、4台と同時に使っていても、HDDは同じ寿命で同じ時間を使っているので。

2年半くらい使ったら、データを外付けHDDに全部入れ替えるというバックアップ作業が欠かせないといえます。RAIDは、データをバックアップしたら、中身のHDDを全部新品に入れ替えて、使い続けることができるのです。

――今までお話しをお伺いしていますとHDDは危険な記録媒体に思えてくるのですが(笑)データ復旧のプロからお勧めできる記録媒体はありますか?

西原 そうですね…データ保存の方法としては、フラッシュメモリー、DVDなどがありますが、それぞれにメリットデメリットがあります。

例えば、フラッシュメモリーは構造上、データがいきなり消えることがあり、それは「蒸発現象」と言われています。DVDは、光に弱いのと、そもそも流通しているDVDは質が良くないものがあるので、2−3年前に書き込んだデータが出てこないということはよく起こります。

  結果的にトータルで考えるとHDDが、現時点では一番良い記録媒体ということができると思います。少し面倒ではありますが、最低半年に1回くらいの頻度で、バックアップをして、3年以上使っているHDDは新しいものに買い換えて使っていくというのが、安全な方法と言えます。(おわり)(編集担当:徳永浩)

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