多様化する中国メディア(5)検閲と実名制をめぐって

Y!コラム2012/02/17(金) 09:49 
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◆実名化する中国版ツイッター

  利用者が3億を越えた中国版ツイッター(微博:ウェイボー)に昨年12月、激震が走った。政府が中国版ツイッターの実名制を義務化すると発表したためだ。政府は三ヶ月以内に登録を求め、その内容は日本の警察に当たる公安部門の承認システムに接続されるという。これにより、ウェイボーを運営する新浪などは株価を下げたほか、ユーザーからも反発の声が上がった。

  本制度はユーザーに実名や身分証の番号登録を求めるもので、新しく登録しようとするユーザーは必ず実名登録が必要になる。また、これまでのユーザーについては、実名を登録しなければ閲覧以外の行為はできなくなる。ただし、画面上では任意のアカウントネームが使用可能だ。

  政府側の観点としては、デマ、虚偽情報の氾濫、詐欺行為の増加に歯止めをかけ、信頼できるネット言論の構築を掲げているが、事実上の管理強化ということもあり、ユーザーの反発も根強い。中には中国版ツイッターから離れたり、規制の壁を越えて本家ツイッターを利用するユーザーもいるようだ。

◆ツイッターも中国へ?

  それでは、検閲のない自由な交流を楽しむことができるツイッターを中国消費者はどのように認識しているのだろうか。

  サーチナ総合研究所(上海サーチナ)は、2011年10月、中国全土3,000人を対象にインターネット調査を実施、「ツイッターを知っていますか」と聞いたところ、「知っているし、アカウントを持っている」人が7.3%、「知っているし、閲覧したことがある」と答えた人が19.9%、続いて「知っているが、見たことはない」人が26.6%、「聞いたことはあるが、よく知らない」が15.4%、「初めて聞いた」と答えた人が29.0%となっている。前回のFacebookと比較するとやや低めとなっているが、それでも半分近くの消費者がツイッターを認知していることになる。

  また、「ツイッターを使いたいですか」という問いに対しては、「ぜひ使いたい」が39.6%ともっとも高く、「よく知らないし、わからない」が35.1%、「特に必要ない」が9.6%、「ウェイボーで十分だ」という回答が8.3%となった。
Facebookの事例と同様、全体の半数近くが利用を希望しているが、ここに来て米ツイッター社でも大きな動きが起こる。今年1月末、それぞれの地域の法律に基づき、違反するツイートやアカウントを差し止める用意があることを表明したからだ。ユーザーはもちろん、各界からも少なからぬ批判が寄せられたほか、中国へ進出するための準備だとする議論が各所で沸き起こった。

◆ツイッター進出に対する中国の反応

  米ツイッター社は各所から批判ツイートを受け、弁明する事態になっているが、当の中国では冷ややかな反応が多く、中国市場の攻略は困難だという。鳳凰網が1月30日付けで報じたところによると、既に中国国内では新浪やテンセントといった中国版ツイッターが広範なネットユーザーによって支持されているほか、政策環境の違いだけでなく、ネットユーザーの習慣なども異なっていると指摘する。ただし、米ツイッター社の決断は、既に撤退したGoogleが学ぶに値すると、中国市場に対する理解を称賛している。

  中国版ツイッターは確かにユーザー数の多さから、さまざまなビジネスが仕掛けられてきた。また、日本からも著名人がサイトを開設するなど、海外から熱い視線が投げかけられてきたともいえる。それでは、本家ツイッターを利用してみたいとする中国人消費者の声はどのような動機に支えられているのか。それは「中国市場という特殊な環境」が意識付けされ過ぎた結果によるのではないか。世界の誰とでも自由につながり、自由に発言を楽しめる場所への希望が少なからず垣間見える。(編集担当:前田直人・サーチナ総合研究所研究員)

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